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巌流島異聞


ムサシは迷っていた。いや いつものことなのだ。撮影前夜は いつもどの鏡玉にしようかと 迷いが生じる。まして明日はコジローとの対決なのだ。既に掲示板では広言している。見物人もたくさん集まるに違いない。あんなことなら 掲示板で大口を叩かねばよかった。後悔はしても今更止めるわけにはいかぬ。ヨンニッパと可変焦点鏡玉にしようか。いや それではゴーヨンゴ使いの名手と言われるコジローには、太刀打ちできぬであろう。ツバメを秒8コマで連写するというコジローの凄腕には。やはり コジローを凌ぐ大玉か。。。機材だけは金にあかせて揃えてきた。いや 明日コジローに負ければ、「金にあかせて」が明々白々になってしまう。せっかく築きかけたビッグネーム・ムサシが霧散してしまう。負けて鏡玉を取り上げられてしまえば、四十五点測距暗箱がいくら手元に残っても意味を成さぬ。

一方コジローも眠れぬ夜を過ごしていた。コジローとてゴーヨンゴを手にしたのはつい先月なのである。割賦はまだ九割も残っている。明日もしムサシに負けてこの愛玉を取り上げられたら、自分に残るのは割賦だけではないか。それではあまりにも無様だ。

明け方ムサシは舟に乗った。やはり二本の鏡玉を持参するのは煩雑だ。結局ロクヨンを威雄洲につけた。しかし眠たい。舟を漕ぎながらムサシの頭も、同じように舟を漕ぎだした。うとうとした体の動きが櫓に伝わり、舟はユルユルと向こう岸に向かって進む。

突然ムサシは、コジローの大声に目を覚ました。「ムサシ遅いぞ! 憶したか!」 気の短いコジローは岸で待てず、海の中にゴーヨンゴを着けた絵富護を手にして駈け入ってきた。
ムサシは舳先に立ち上がった。しかし頭は朦朧としている。何か言わねばならない。ええい! もう勝負は捨てた。「コジロー破れたり!」 せめてこれだけでも言っておきたかった。ウソでも構わぬ。

コジローは逆上した。冷静であれば 舟に乗ったムサシの背後から迫り来るものが見えたであろうに。。。

ムサシはよろよろと舳先から海に降りようとした。と、その刹那・・・・





大波が二人を襲った。舳先から降りようとしたムサシは、逆に空中高く放り出された。突如、飛び上がった(かのように見えた)ムサシを迎え撃とうと上を向いたコジローは、波に足をとられてもんどり返った。

仰向けに転んだコジローの目に映ったものは….. 重いロクヨンの大きな前玉と それにくっつくように落ちてくるムサシの太った体であった。

グワシッ。 鈍い音がコジローの脳天から発した。ムサシのロクヨンに着けられた鉄よりも固い炭素繊維の遮光筒が、コジローの野望をうち砕いた音であった。。。。


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決してニコンユーザーとキヤノンユーザーの対立をあおる意図はございません。
ただただ 暇つぶしの雑文でございます。
カメラが違い レンズが違っても 仲良く写真の楽しみを語り合うのが 本物の写真愛好家で
ございます。 それにしても 海岸や船上での撮影には気をつけましょうね (^^;)
by salgadou | 2005-12-07 13:20

撮影に使っている機材を紹介致します。


by salgadou