近距離補正方式 その2

PCモニターの味気ない画面じゃイメージが湧かない、もっと実写に近いものを!...ということで小さな人形の焼き物を写してみました。

まず全体を。女の子の人形を真ん中に置き、男の子の人形を画面端において このレンズの最短撮影距離30cmで撮影します。二つの人形はカメラから見て同一平面上に置きます。

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まずはレンズのピントリングで最短撮影距離に繰り出して撮影。
絞り開放 f2.8で右端の男の子は このように写ります。
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f8では
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画面端でもまずまず良好な描写となっています。

次にレンズのピントリングを無限遠に戻して、マウントアダプターのヘリコイドを繰り出してピントを合わせます。
中心部の描写はあまり変わらないので、右端の男の子の描写がどうなるかを見ます。

絞り開放f2.8では
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このように結像が甘くなります。

絞りf8に絞っても ↓のように改善は見られません。
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周辺部まで良好な描写を得たい場合には、近距離補正方式が有効なことが判ります。

ところで レンズとマウントアダプターのヘリコイド、両方とも繰り出すとどのくらいまで近づけるのか....やってみました。
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レンズ先端から3cm以内まで近づけます。マクロレンズ並みの近接撮影が可能です。もっとも描写はかなり緩くなりますが。
24ミリf2.8単体のヘリコイド繰り出し量は2ミリほどですが、ヘリコイド付きマウントアダプターの方は14ミリもあるので当然の結果とも言えます。
レンズの焦点距離が短いほど被写体に近づくことが出来ます。
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by salgadou | 2015-04-23 08:34 | レンズ | Comments(0)

画像のレンズは 新旧のニッコール24ミリf2.8、左が新タイプ、右が旧タイプ。光学系が異なっています。
この右のニッコールオート24ミリf2.8(Ai改造品)には「ニコンレンズ史上初の機構」が組み込まれています。それが「近距離補正」といわれるメカニズムです。勿論第2世代にも組み込まれています。
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現在ではレンズにいろいろなメカニズムが組み込まれていますが、このレンズが登場した頃はレンズは基本的に「全群繰り出し」によって近距離の被写体にピントを合わせていました(現在でもこの方式のレンズは多数存在します)。
ニコンの光学設計部門には生真面目な人が多かったのでしょうね。「レンズ全群を繰り出すと、特にレトロフォーカスタイプの光学レンズでは描写性能が低下することがある、それを防ぎたい」と新しいメカニズムを組み込むことを考えたそうです。詳しい説明はなされていませんが、特定のレンズの面間隔を繰り出しに応じて調整する機構を盛り込んだそうです。

で それはどのくらい効果があるのか?...が今回のお題です。そのチェックはニコンの一眼レフを用いては実施できません。そこでソニーα7とヘリコイド内蔵マウントアダプターが登場します。

簡単なやり方でチェックしてみます

(a) ソニーα7+マウントアダプターに24ミリレンズを装着し、まずレンズのヘリコイドを繰り出して 近距離の被写体にピントを合わせて撮影する・・・近距離補正方式が働く
(b) 次に レンズヘリコイドを無限遠に合わせ、マウントアダプター内蔵のヘリコイドを繰り出して、同じ被写体にピントを合わせて撮影・・・近距離補正方式が働かない

(a)と(b)の画像を比較すれば、近距離補正機構の貢献度を素人でも目視で判定出来ます。このレンズの最短撮影距離30cmでチェックしてみます。

まずサンプルとなる被写体を用意します。味も素っ気もないですが PCのディスプレーを使って用意しました、
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この画面は 新型24ミリf2.8の絞り開放での画面です。(初代の24ミリでもチェックしたかったのですが、残念ながらマウントアダプターに絞り環がつかえて装着できませんでした)。
画面中心でピントを合わせます。中心部に少し色被りがありますが原因不明です、無視してください。少し樽型歪曲がありますね、まあ当時の設計水準としては悪くない方だと思います(最近のズームレンズの広角端の歪曲の方が遙かに酷い)。

まずレンズのヘリコイドでピントを合わせ、絞り開放f2.8と f8 で撮影します。つまり近距離補正方式が働いているケースです。

(1) f2.8中心部
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(2) f2.8 周辺部 左上角
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(3) f2.8 周辺部 右上角
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左下角と右下角は割愛します。

続いて f8で同様に撮影しました。
(4) f8 中心部
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(5) f8 周辺部 左上角
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(6) f8 周辺部 右上角
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中心部と周辺部では描写力に差がありますが、それでも四隅でも一応画面に表示された文字を視認することができます。

さて それでは近距離補正方式が働かない場合(→つまりマウントアダプター内蔵のヘリコイドで近接撮影をした場合)は どうなるか?

(7) f2.8での中心部
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これはそれほど描写力の劣化はありませんでした。つまり中心部の描写に関しては、近距離補正方式の貢献度はあまり認められません。

(8) f2.8での周辺部 左上角
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(9) f2.8での周辺部 右上角
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上記画像からは近距離補正方式を採らなかった場合周辺部の描写の大幅な劣化が見て取れます。

f8での結果も検証してみます、
(10) f8での中心部
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(11) f8での周辺部 左上角
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(12) f8での周辺部 右上角
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f8に絞れば全体に収差がおさまり、近距離補正方式を採らなくても良好な描写が...との期待も虚しく、やはり近距離補正方式の効果は絶大なものがあると確認する結果になりました。

同時代のキヤノン、ミノルタ、ペンタックスなどの広角レンズは近接撮影時どのような描写力を示したのでしょうね? ちょっと興味が湧いてきます。
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by salgadou | 2015-04-20 13:46 | レンズ | Comments(0)

ライツの望遠レンズ、エルマー9cmf4とテリート200mm f4.5を紹介したら、ヘクトール135ミリf4.5はどうなんだという声が...

一番素直なやり方は ライカM→ソニーEマウントアダプターを使って装着する方法です。
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これで何の問題もありません。古いエルマー9cmf4とちがってヘクトール135ミリf4.5は直進ヘリコイドなので絞り指標がピント操出によって回転することはありません。
最短撮影距離は1.5mです。普通に風景や人物を撮るのにあまり支障はないでしょう。

ところが世の中にはもっと被写体に寄って撮りたい、とかミラーレスではなくて一眼レフでこのレンズを使いたいという人が居ます。
そう言う人たちのためにライツはアダプターを出しています。
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画面一番左は本来のヘクトール135ミリf4.5の鏡胴です。真ん中はショートヘリコイドと言われるもので、ライカのカメラにビゾフレックスを装着した場合にこのヘリコイドを使用します。カメラ側マウントはL39になっています。一番右はあまり見かけないものですが、ヘクトール135ミリf4.5のレンズヘッドだけをL39マウントにするアダプターです。こうならべてみると、フランジ面から後ろ側の余裕がかなり違います。

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これはショートヘリコイド + M42ベローズを間に挟んでヘクトール135ミリf4.5のレンズヘッドをソニーα7に装着した例です。無限遠撮影が可能な状態になっていますが、その時点でベローズは僅かに繰り出しています。

ここでお判りのように ソニーα7+マウントアダプターの状態は、通常の一眼レフと同じフランジバックを持つことになります。つまりショートヘリコイド + M42ベローズの組み合わせはミラーレス機だけでなく、通常の一眼レフでも使えます。昔はD1XやD2Hでこの組み合わせを使っていました。このようになります ↓。
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ベローズが重たければ その部分を単純な中間リングで置き換えても良いでしょう ↓ 。ただしこのケースでは、ショートヘリコイドのヘリコイドを幾分繰り出した状態で無限遠撮影が可能になります。結果として最短撮影距離が幾分長くなります(=近づけなくなる)。
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レンズヘッドをL39に変換するタダの筒の場合はショートヘリコイドより更にベローズを繰り出した状態で無限遠撮影可能となります。その分ベローズの可動範囲が狭くなります(しかし極端な近接撮影を望まなければ十分でしょう)。このアダプターの利点は ショートヘリコイド使用よりシステムが軽くなる点です。
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ではヘクトール135ミリf4.5の描写はどうなんだ?...という疑問をお持ちの方に作例を紹介します。




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どっしりとした質感描写でエルマー9cmf4と通じるものを感じます。前後のボケもなだらかで神経質なところがありません。使いやすいレンズだと思います。
古い設計のレンズなので厳しい逆光ではフレアが出てコントラストが低下します。出来るだけ深いフードを使った方が良いでしょう。
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by salgadou | 2015-04-15 13:30 | レンズ | Comments(2)

もともとヴィゾフレックス使用が前提のライツ・テリート200mm f4.5なので、バックフォーカスは十分にありデジタル一眼レフでも無限遠から使用できます。なのでソニーα7での使用には勿論制限はありません。

細身で小さいレンズですが中身がぎっしり詰まっており 重量は専用フード込みで約500gあります。
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虹彩絞りです、現在ではこれを円形絞りと表現する人も居ます。
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バックフォーカスはたっぷりなのでベローズを間に挟むことが可能です。これでも無限遠からの撮影可能。
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レンズが約500g、ベローズとマウントアダプターが合計で約500g、そしてカメラが約500g、合計1.5kgのセットです。α7のマウント部はややヤワな印象を受けるので、このくらいの重量になると若干取り扱いに気を使います。

さて描写は...
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純正のフードがやや深めなので 逆光でも割と良好なコントラストを保っています。エルマー9cmf4やヘクトール135ミリf4.5と同様、色の出方も厚みを感じさせます。またボケも素直な点 共通です。

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レンズ単体では最短撮影距離3mです。この辺りは登場した時代を感じさせます。勿論ベローズと組み合わせて設計時点より大幅に近接撮影することが可能で、その場合も解像力の低下や像の崩れがないのはさすがライツの設計だと感心させられます。
解像感バキバキのレンズではないですが、非常に素直な描写で使いやすいレンズだと思います。なお絞り開放f4.5では描写が甘いのは確認済みですので、この作例は全て f5.6半 で撮影しています。
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by salgadou | 2015-04-03 06:13 | レンズ | Comments(1)

撮影に使っている機材を紹介致します。